8月に公開された映画『思い思われ、ふりふられ』での共演も記憶に新しい北村匠海と浜辺美波。
浜辺美波が北村匠海を相手に初めてキスシーンに挑戦したことでも話題となりました。
たった2度目の共演ながら、早くも名コンビとして広く認知されているのではないでしょうか。
そんな二人の初共演となったのが『君の膵臓をたべたい』です。
一見物騒なタイトルに隠された意味や初々しくも切ない物語で若い世代を中心に高い評価を得た本作の魅力を紹介していきます。
二人が表現する距離感が絶妙！
北村匠海が演じる主人公の「僕」は他人と関係を築くことを積極的に避けて、自分のパーソナルスペースを守ろうとする高校生。
一方、浜辺美波が担当したヒロイン「山内桜良」は、他人との交流を大事にしていて、それこそが生きることなのだと考えています。
生きること、というと少し大仰な気もしますが、それもそのはず。桜良は膵臓の病を患っていたのです。
そんな「僕」と桜良が、あることをきっかけに病院で出会うことで二人の物語はスタート。
初めは桜良からの強引な誘いに渋々付き合っていた「僕」ですが、何度かの交流を重ねていくうちに二人の関係性に変化が訪れます。
注目すべきは北村匠海と浜辺美波が表現する距離感。
この距離感が、本当にリアルというか絶妙で、「僕」と桜良がお互いに対してどう思っていて、どういう行動をとっているのかが非常にうまく表現されているのです。
私は本作を鑑賞後に原作小説も読んだのですが、地の文に書かれている心の動きはもちろん、そこには書かれていないけど確かに動いているであろう心の内側まで、全てをくみ取っているからこそできる表現だと感じました。
今や数々の作品に引っ張りだこの北村匠海と浜辺美波ですが、その理由が伺えるような演技力の高さを見ることができます。
月川翔監督の腕が光るオリジナル要素
この実写映画版『君の膵臓をたべたい』の大きな特徴といえるのが、原作では描かれていなかった大人になった「僕」がオリジナル要素として描かれていること。
“映画オリジナル”と聞くと不安に思う方もいらっしゃるかもしれませんが、（原作を読んだ視点からの賛否両論はあるものの）個人的にはとても良いオリジナル要素だと思っています。
ネタバレのない範囲で書いていきますが、原作では、桜良との交流を通して考え方が変わった「僕」が、これからの未来に向かって新たな一歩を踏み出すようなラストで締めくくっています。
一方、実写映画版の本作では、冒頭や合間で小栗旬演じる大人（教師）になった「僕」が登場しており、物語自体を大人になった「僕」の回想として構成しているのです。
桜良との出会いで変わった大人の「僕」が今度は自分の生徒に対して道を示す姿には、成長と切なさを感じてグッとくるものがあるでしょう。
初々しくも切ない二人の物語に涙する【※少しネタバレあり】
『君の膵臓をたべたい』が高い評価を得ている理由は何か？
その理由の一つは、間違いなく「僕」と桜良の物語でしょう。
ここからは少しだけネタバレを挟んでいきます。
「僕」が桜良と交流を重ねていくうちに成長していく姿には心が温まり、一方で、桜良が「僕」と交流する理由が、「僕」によって本当は傷ついて無理をしている心が救われていたからという理由も感動的です。
そんな二人を見ていると、そのままハッピーエンド、もしくは病による別れという悲しさもあるけど幸せな終わりを迎えるのだろうな…と誰しもが思ったことでしょう。
私も「僕」と桜良の別れがあまりにも唐突な展開すぎて、頭が真っ白になったのを覚えています。
恐らく、「僕」も同じような（あるいはそれ以上）の状態になったことでしょう。
確かに伏線は貼ってあったのですが、どうでもいい話としてスルーしがちな貼り方ですし、二人の交流を見ているうちに頭から抜けてしまう人がほとんどだと思います。
とはいえ、最初は「作者も趣味が悪いなぁ」と思ってしまうかもしれませんが、なぜあんな切なすぎる別れになったのかは、『君の膵臓をたべたい』のテーマを考えれば確かに納得がいくもの。
鑑賞後には“人生における別れ”について考えさせられる、そんな作品となっています。
おわりに
『君の膵臓をたべたい』は単なる青春映画ではなく、命について、人生における人との関わりについて深く考えさせられる作品です。
また、北村匠海と浜辺美波の若手俳優二人が絶妙な演技で物語をより繊細で切ないものに仕上げています。
今まで見たことがなかった方で少しでも興味をもたれましたら、ぜひご鑑賞ください。
また、これまでご覧になられた方は、ぜひ北村匠海と浜辺美波の演技に注目して、もう一度ご鑑賞してみてはいかがでしょうか。
2020年8月31日現在、Amazon prime video、Netflixで配信中
（情報は掲載時点のものです。配信サイトなどは変更になっている場合がありますので予めご了承ください。）
