黒木瞳が監督として内館牧子の小説を映画化『十二単衣を着た悪魔』

宝塚歌劇団を経て、女優として数々の作品に出演してきた黒木瞳。
2016年には吉田羊主演の映画『嫌な女』で監督デビューも果たすなど、日本のエンターテインメント業界で精力的に活動されています。
そんな黒木瞳が監督として脚本家・作家の内館牧子による長編SF小説を映画化した『十二単衣を着た悪魔』をご紹介します。

あらすじ

就職試験59連敗中のフリーター・伊藤雷は、頭脳明晰かつ 眉目秀麗な弟に劣等感を感じる日々を過ごしていた。
ある日、日雇いのバイトで 「『源氏物語』と疾患展」の設営に参加した後、激しい雷雨に見舞わ れて気を失ってしまう。
目覚めるとそこは、平安時代の女流作家・ 紫式部によって書かれた『源氏物語』の世界。
タイムスリップしてしまった雷は、口から出まかせで陰陽師・伊藤雷鳴と名乗り、息子の「一宮」を次の帝にしようと野心に燃える悪名高き皇妃・弘徽殿女御(こきでんのにょうご)に仕えることに。
皇位を争うのは一流の男、「二宮」こと異母弟の光源氏。
雷は悪魔的に強い弘徽殿女御に翻弄されながらも触発され、運命をともにしようと決心するのだった…。

原作小説はあの名作映画にインスパイアされていた!

映画『十二単衣を着た悪魔』は内館牧子の小説が原作ですが、その内館牧子の小説も(タイトルから想像がつく方もいらっしゃると思いますが)メリル・ストリープ主演の名作映画『プラダを着た悪魔』からインスパイアされています。
「『源氏物語』に登場するヒステリックな悪役・弘徽殿女御は、実は早すぎたキャリアウーマンであった」という斬新な解釈の下、傍若無人なヒロインに影響を受けながら現代のネガティブ青年が成長していくSF時代劇に仕立て上げました。

余談ですが、黒木瞳は内館牧子原作のTVドラマ『義務と演技』や、同じく内館牧子原作の映画『終わった人』に出演しています。

若手からベテランまで実力派俳優陣が集結

妥協や忖度を一切許さないカリスマ的なヒロイン・弘徽殿女御を演じるのは、『ダンスウィズミー』『犬鳴村』などで注目を浴びた三吉彩花。
源氏物語では嫌われ者、野心家などのイメージの弘徽殿女御を、キャリアウーマン顔負けのハートと冷静な分析力で信念を貫くしたたかな女性を見事に体現しています。

そんな弘徽殿女御に振り回されることになるネガティブな青年・伊藤雷を、伊藤健太郎が担当。
未来を当てる陰陽師として認められることで成長していく青年に、真っ直ぐな演技で挑んでいます。
なお、三吉彩花と伊藤健太郎は本作で初共演。
若手実力派俳優二人が見せる、初々しくも楽しい掛け合いにも注目です。

その他にも、伊藤沙莉、山村紅葉、笹野高史といった面々が出演。
若手からベテランまで実力派俳優陣たちが集結し、素晴らしい演技の数々を披露しています。

おわりに

斬新な解釈で『源氏物語』の悪役に新しいキャラクター像を加えた内館牧子の手腕は流石の一言。
黒木瞳監督の下、実力派俳優陣たちによってその面白さがより一層引き立てられたのではないでしょうか。
気になった方はぜひ劇場に足を運んでみてください。

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