映画「人魚の眠る家」が描いた母親の狂気

東野圭吾の作家デビュー30周年を記念して書かれた禁断のベストセラー同名小説を映画化。愛の強さゆえに狂気をはらんでいく母親役の篠原涼子が、渾身の演技を披露。

あらすじ

2人の子どもを持つ播磨薫子(篠原涼子)と和昌(西島秀俊)は別居中の夫婦。娘の小学校受験が終われば離婚する予定だった。ある日突然、彼らのもとに衝撃の知らせが届く。

娘がプールで溺れ、意識不明の状態に陥った。

回復の見込みはなく、ただ眠り続ける我が子。奇跡を信じる夫婦はある決断を下す。しかし、そのことが次第に運命の歯車を狂わせていく…。

「娘は生きている」母親の狂気

この映画のみどころは、なんといっても次第に狂気に堕ちていく母親役・篠原涼子の名演技です。本作で第43回報知映画賞主演女優賞ほか、多くの映画賞を受賞しました。

娘の心臓は動いていて見た目もきれいなまま、意識だけがない脳死状態。

臓器提供の判断に迷っていた夫婦でしたが、母親の薫子が我が子の手が微かに動いたのを目撃し、“生きている”と判断しました。以後、家族は娘の死を受け入れず、介護していくことになりました。それが、狂気の始まりとも知らずに…。

周囲の家族の痛み

IT機器メーカーを経営する夫・和昌(西島秀俊)は、世界でも前例のない技術をもって娘を回復させようとします。延命治療の甲斐あってか、娘は眠ったように美しい姿のまま、成長していきます。周囲の家族も薫子の狂気を見て見ぬふりをし、脳死状態の娘を生きている人間として扱います。しかし、次第に死を受け入れる必要があることに気がつきます。その時の薫子がとった行動とは…。心揺さぶる結末を、あなたの目で見届けてください。

おわりに

いかがでしたでしょうか。

この映画では、社会的で重いテーマを取り上げています。

人間は何をもってして、“死亡”と定義するのでしょうか。

解答のない命の線引き、あなたならどう答えますか?

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