“韓国のエリック・ロメール”と称されるホン・サンス監督作品
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3大映画祭で高い評価を得ている、『アバンチュールはパリで』などのホン・サンス監督が手掛けたラブストーリー。とある港町を舞台に、それぞれ恋に落ちた男女のひと夏の恋模様を描き出す。『映画館の恋』でもホン・サンス監督と組んだキム・サンギョンが主人公を演じ、『大統領の理髪師』などのムン・ソリが彼の思い人を演じている。恋愛という複雑な感情に振り回されながら、揺れ動く登場人物たちの心情が観る者の心をわしづかみにする。

韓国映画界に新たな地平を切り拓くホン・サンス

1961年生まれのホン・サンス。韓国中央大学で映画制作を学び、85年カリフォルニア芸術工科大学で美術学士号(BFA)、89年シカゴ芸術学院で美術修士号(MFA)を取得。留学中には数多くの短編実験映画を手がける。96年に初の長編映画『豚が井戸に落ちた日』を発表し、韓国の批評家たちから韓国映画界に新たな地平を切り拓いたとして称賛される。また同作品で、バンクーバー国際映画祭でドラゴン&タイガー賞、ロッテルダム国際映画祭でグランプリを受賞。以降も、3大映画祭の常連として世界の注目を集める、名実ともに韓国を代表する映画監督のひとり。

2人の男の“ひと夏の想い出”がやがて交わるストーリー

カナダへ移ることになった映画監督ムンギョンは、先輩の映画評論家チュンシクと会って酒を交わすことに。やがて2人とも港町トンヨンに行ってきたばかりと分かり、お互いに旅の想い出を語りはじめる。トンヨンでフグ料理店を営む母親に会いに行ったムンギョンは、観光ガイドのソンオクに一目惚れし、海兵隊出身の彼氏がいてもお構いなく追いかける。一方のチュンシクは、大学の後輩チョンホとの再会を兼ねて愛人のヨンジュとトンヨンを訪れていた。そこでヨンジュから今後はどう付き合っていくのかの決断を迫られる。女たちの言動に振り回される2人の男たちは……。

カンヌ国際映画祭ある視点部門グランプリ受賞作

第63回カンヌ国際映画祭ある視点部門グランプリ受賞作の本作。描かれるダメ男たちの微笑ましさ、そして女性を正面から映さないホン・サンス流の独特なカメラワークがなんとも特徴的。居酒屋やバーで誰もが一度は経験したことはないだろうか? 隣の席で酒を飲むいい歳のおじさんたちのくだらない話に思わずニヤリとしたことは。そして、やがて交わり始める2人の恋バナの行方とくれば、目が離せないに決まってる。本作で男の短絡的な思考の様を女性たちにぜひ笑って観てほしい。

ザ・シネマ

ハハハ
2020年9月23日 8:15~10:30(字幕)

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