妻の愛人はチンパンジー?大島渚の異色作「マックス、モン・アムール」
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大島渚監督がフランス資本で世界に向けて手がけた“愛の3部作”の一編。『愛の嵐』の美女シャーロット・ランプリングとチンパンジーの美しい純愛を通じて、人間社会における愛のあり方に根本的な疑問を投げかける。

“世界のオーシマ”を決定づけた“愛の3部作”

阿部定事件をもとに究極の愛とエロスを描いた『愛のコリーダ』、寡婦と愛人と殺した夫の亡霊との三角関係を描いた『愛の亡霊』、残る一本が、“妻の愛人はチンパンジーだった——。”という異色作『マックス、モン・アムール』だ。さまざまな愛の形を問う大島渚の挑発的なコメディ。

妻の不貞を疑う夫が目撃したのは人間ではない不思議な男

駐仏の英国大使館員ピーター(アンソニー・ヒギンズ)は、妻マーガレット(シャーロット・ランプリング)、息子と円満な家族生活を送っていた。ある日、妻が外出先を偽っていたことを知り不審に思ったピーターは、私立探偵を雇って妻を監視させる。すると妻がアパートを借りて通っていることが明らかに。意を決してアパートに押し入ると、ベッドには服を脱いだ妻とチンパンジーが横たわっていた。戸惑いと嫉妬を抑えながら、ピーターはチンパンジーと自宅で同居しようと妻に提案する。

フランスの一流スタッフが結集

『愛の嵐』などで知られるシャーロット・ランプリング主演のほか、大島渚のわきを固めるスタッフも一流がそろった本作。原作・脚本は『昼顔』などで知られるジャン=クロード・カリエール、撮影は『気狂いピエロ』『突然炎のごとく』のラウル・クタール、音楽はセザール賞を3回受賞のミシェル・ポルタルが務めた。フランス映画ツウにも外せない一本となっている。

ザ・シネマ

マックス、モン・アムール [PG12相当]
[字]2020年6月10日 6:00~7:45

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